SED、液晶やプラズマを凌駕できるか
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SEDデモを待つ展示会来場者 |
キヤノンと東芝のSED(Surface-conduction Electron-emitter Display)の合弁会社の「SED」は、4月に東京・ビッグサイトで開催された「Display 2005」でSEDのデモを行い大きな話題となった。SEDのターゲットは30〜70インチの大画面TVで、すでに試作に成功した36インチに続き、今夏には50インチの量産技術を確立、2007年初頭には本格生産を見込んでいる。
キヤノンと東芝は1999年の共同開発合意以来、次世代薄型ディスプレイの本命デバイスとして自発光型の薄型ディスプレイ「SED」の開発に取り組んできたが、昨年のCEATECで試作品を初公開、本格離陸に向けスタートを切った。
SEDはFED(Field Emission Display=電界放出ディスプレイ)の一種で、基本的な発光原理はブラウン管ディスプレイ(CRT)と同様、CRTの電子銃に相当する電子放出部をディスプレイの画素数の分だけ並べることで薄型化を実現している。
液晶ディスプレイ(LCD)と比べて、SEDは自発光であることから輝度が高く、鮮やかな色が再現でき広視野角が特徴。また、発光効率が高いことから、消費電力はPDP(プラズマディスプレイ)と比べて3分の1、従来のCRTと比べると2分の1程度という。
液晶と比較すると若干コスト高といわれ、40インチ以上の大画面向きといわれている。また低消費電力のため、環境にやさしい省エネ時代のディスプレイとしても評価される。
新会社「SED」は、SEDパネルの開発・製造・販売を行う。資本金は10億5000万円でキヤノンが50.002%、東芝が49.998%を出資。代表取締役社長にはキヤノン取締役SED開発本部長の鵜澤俊一氏が就任した。従業員数は約300人。
SEDの基本原理は、ブラウン管が1本の電子銃で画像を表示するのに対して、無数の微細な針状の電子銃を使用する。自発光のため液晶パネルのようなバックライト光源は不要で、ブラウン管と同程度の輝度、鮮やかな色彩、広い視野角が特徴。CRTのように電子ビーム偏向を必要としないため、薄型に製造できる。
キヤノンがSED技術に参入したのは、同社のコア技術の一つであるプリンターで培ったインクジェット技術で超微粒子を形成し、高性能な電子放出部を作成することができるため。
多くの電子放出素子をつなぐ配線をスクリーン印刷法などによって作成すし、効率的な製造が可能になったことも大きな要因とされる。実際にSEDの多数の電子放出部を高精度で形成する手法としてインクジェット方式を取り入れ、マトリクス状の配線形成に印刷技術を用いるなど、大画面サイズを低コストで生産する技術開発に積極的に取り組んでいる。
キヤノンは20年前の1986年に電子放出素子の研究を開始し、96年には小型パネルの試作品を通じて、SED方式で大画面薄型ディスプレイ実現の可能性を実証している。
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注目集めたDisplay 2005のSEDコーナー |
一方、東芝についてはソニーと並ぶブラウン管の雄であり、テレビ技術と組み立て生産を担当することになる。薄型テレビは将来的にデジタル・ホーム時代を迎える環境のなかで、当然HDD(大容量記憶装置)が搭載されることになり、ホームサーバーとしての機能を持つ。
そこで薄型テレビは、デジタルテレビとしてホーム・ネットワークの中核商品としての位置付けが期待される大型商品となる。デジタルカメラでトップシェアを持つキヤノンだけに、デジタル家電で高いシェアを確保し、デジタル複写機などでの分野でもトップグループの1社であるキヤノンが、先行する液晶メーカーやプラズマ・メーカーにどのようにチャレンジしていくのかが注目される。
ファインテック・ジャパン/Display 2005の基調講演のスピーカーとなった東芝の福間和則氏が、「SEDの表示原理と量産ロードマップ」などについて説明し話題を呼んだ。福間氏は「昨年のCEATECでセンセーショナルなデビューを飾った後はしばらく封印しておこうと思ったが、講演を頼まれたのでSEDの原理などを紹介する」とし、そのうえでSEDの原理をブラウン管(CRT)と比較しながら分かりやすく解説した。
SEDの表示原理は、後方から電子を打ち出してRGB(赤緑青)の蛍光体に当て、発光させるという点でCRTと共通する。ただし、CRTでは中央後方にある電子源(冷陰極電子源)から打ち出される電子を偏向ヨーク(磁力線を発生する装置)で走査することによりRGBのフィルターに当てているのに対して、SEDでは超小型の電子源をRGBフィルターの直後に約300万個(フルHDの場合)配置して、各電子源を個別に駆動しているのが特徴。
これによってフィルターまでの距離が短くなるため、隣接するRGBフィルターへの干渉がなく、メリハリのあるシャープな発色が可能になるという。また蛍光体材料としてCRTと同じものを採用し、マイクロ・フィルターで余分なスペクトルをカットすることで、NTSC比で94%という高い色再現性が可能となる。
応答性能においても、現在最大1msという液晶パネルやPDPより高速さを実現するという。輝度は昨年のCEATECで展示した際には、"黒レベル"(真っ黒の映像を表示したときの輝度)が0.3cd/m2だったが、改良を重ねて現在は0.003cd/m2を実現した。
ピーク輝度は400cd/m2。暗コントラストは10万:1、明コントラストは85:1で、駆動パルスの制御により白から黒まで1024階調の表現が可能であるとしている。
(Text:塚原隆夫)
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