2005年:FPD業界は大転換へ
企業間競争さらに熾烈
FPD(フラットパネル・ディスプレイ)業界が激変している。大画面・薄型テレビやカメラ付き携帯電話、デジタルカメラなどの旺盛な需要に支えられ成長を続けてきたが、デバイス間、サプライヤー間では生き残りを賭けて熾烈なバトルが繰り広げられている。有機ELでは名乗りを上げていた台湾メーカーの多くが撤退し、有力数社に絞られた。有力液晶メーカーの一つであるCMO
(奇美電子)は、子会社のIDTechを売却の意向と報じられている。
需要は全体的に拡大基調
2004年のFPD市場は、CRTも含めたディスプレイ・デバイス市場の81%に成長し、モニター、ノートPC、テレビ、携帯電話の需要に牽引され約620億ドルに達した模様(ディスプレイ・サーチ推定)。
液晶パネルの単価は引き続き低下基調にあるが、2003年から2008年にかけての金額ベースの平均成長率(CAGR)は8%、2008年には1,000億ドルに近づく見通しである。
デバイスの種類別で見ると、アモルファス・シリコン(a-Si)TFT LCDが全体の70 %以上を占める。これで2003年以降トップシェアを占めることになり、次いでPDP、有機ELなどがシェアを伸ばしている。
マイクロ・デバイスであるDLP(デジタルライト・プロセッシング)やLCoSは、データ・プロジェクター向けでシェアを伸ばす一方、パッシブ・タイプ(STNなど)液晶、低温ポリ・シリコン(LTPS)が相対的にシェアを落とした。
2006年はテレビ需要がトップ
ディスプレイ・サーチによると、用途別では直視型テレビ向け(液晶、PDPなど)が、2006年にはモニター向けを追い抜き金額シェア30%で最大のアプリケーションに成長、2008年には36%のシェアを占める見通し。
ただテレビ向けパネルでは、シェアの寡占化が続いている。2004年末時点のテレビ用TFTパネルに限っては、その出荷枚数シェアではトップ3社であるシャープ、LGフィリップスLCD、奇美電子(CMO=Chi-Mei)の3社で累積シェア68%を占め、サムスン電子、AUO(友達光電)を含めた上位5社で全体の95%を占めるという状態である。トップ5社で90%を占る寡占化の傾向は、今後もしばらくは続くと見られる。
一方、2004年第3四半期の大型TFTパネル全体の出荷枚数シェアは、韓国2強のサムスン電子とLGフィリップスLCD、台湾のAUO、CMO、CPT(中華映管)の上位5社で68%のシェアを占める。
モニター向けでも、これら5社が合計77%のシェアで市場を支配。ノートパソコン向けでは、サムスン電子、LGフィリップスLCD、Quanta(廣輝電子)、AUO
、TMD(東芝松下ディスプレイ・テクノロジー)のトップ5社で75%のシェアを確保している。
台湾のTFT液晶メーカーのうちIDTech(CMO子会社だが近くソニーに売却される見通し)とToppoly以外は、すべてのメーカーがテレビ用パネル生産を開始しており、全参入メーカーが利益を生み出せるか疑問視する向きもある。
ただし需要面では2005年以降、LCDテレビの比重が高まることは間違いなさそうだ。
中小型は携帯電話向け液晶が市場牽引
2004年の携帯電話用LCDの出荷枚数は6億6,180万枚、PHS などを含めると7億970万枚に達した模様。一方、カラー化は日本やアジアだけでなく全世界的な傾向であり、カラー化率はすでに75%を突破した。カラー携帯が一般化する中で、その中心はカラーSTN(CSTN)だが、TFT液晶が急追しているのが最近の傾向である。
液晶の供給メーカーは日系企業が50%以上だが、韓国メーカーが30%に迫る勢いを示している。携帯電話の市場規模は2008年には8億台が見込まれる(新規需要約1億台+買い替え需要約7億台)。
今後は、グローバル市場の買い替え需要サイクルによって、需要が大きく影響を受けることになりそうだ。
今後の傾向としては、エントリーレベル(入門機)はCSTN液晶による低価格品と、TFT液晶や有機ELを搭載した多機能のハイエンド品との二極化がさらに進むことになると見られる。
有機ELについては、サブ・ディスプレイからの搭載がスタートしているが、今年はアクティブ型有機ELが大手企業数社から投入されることから、メインディスプレイ用の競争が注目される。
カラー化が世界的潮流の携帯電話
デジタル画像表示の機能を持ったカラー携帯によって、携帯電話の需要がさらに拡大している。2002年にはカラー携帯の台数は5,000万台だったが、2004年には1億8,000万台と3.5倍の伸びを示した。
ディスプレイの2004年第3四半期における携帯電話用を技術別に見ると、主流のCSTNの出荷比率が減少し、アモルファス・シリコンTFT液晶が13%増加、ポリシリコンTFT液晶が20%増加し、パッシブ型からアクティブ型液晶へシフトしていることが顕著となっている。
カラー携帯電話向けパネルのシェアは、日本のシャープが金額ベースではトップの17%で出荷台数では4位。一方、韓国のサムスンSDIは、出荷台数で1位(19.7%)、金額ベースで2位(14.7%)と拮抗している。次いで、エプソンが金額で14%、台数で13.3%のシェアでともに3位につけている。
最近シェアを伸ばしているサムスンSDIは、携帯用サブ・ディスプレイでは断然の1位(28.9%シェア)で、オプトレックスの9.8%、台湾のWintek (7.4%)などが続いている。
伝統的なカラーSTNで健闘しているのが、Wintek、EDT、Nan Ya PlasticなどのSTNの専業メーカー。WintekとEDTの両社は、今年CSTN液晶セグメントは、携帯電話用サブ・ディスプレイ用としてモノクロSTN液晶を置き換えることになると予測している。
韓国勢の猛追続く
Wintekによると、CSTNはエントリー・レベルの携帯電話のメイン・ディスプレイ用のモノクロ用をも代替する可能性があるという。同社は中級機種ではCSTNとTFT液晶がともに採用され、ハイエンド機種ではTFT液晶と有機ELが市場を分け合うことになると予測する。
EDTは今年の携帯電話市場は6億4,000万から6億5,000万台(昨年は6億台)の需要を予想、Wintekもやや強気の6億5,000万から6億6,000万台を予測している。
Nan Ya Plasticの魏賢誠(Maxwell S.C. Wei)電子材料部・副経理によると、「2005年もカラーSTNが携帯電話の主流であり、2005年第2四半期には月産300万枚を500万枚に拡大する」とカラーSTNの需要が続くことを強調する。
TFTについては、モジュール生産に徹して対応を強化している。
中小型液晶の国別シェアでは、現在日本が強みを発揮しているが、徐々に韓国がシェアを伸ばしている。2003年には83%あった日本のシェアは、2004年には73%に減少、これに対して韓国は7%から16%へ倍増以上の伸び。韓国企業は全般的に大型へシフトしているが、旧世代ラインを中小型に転用している。(Text:塚原隆夫)
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